新鮮な状態でお米を貯蔵するカントリーエレベーター
日本の歴史において、お米の確保は重大な問題でした。天候や災害、虫害などで凶作になることもあり、このような場合には餓死する人も多くでました。また、領主による重い年貢も農民たちの大きな負担となり、これらの不満が高まると百姓一揆が起こることもありました。
昭和の時代においても、第二次大戦で物資が極端に少なくなり、戦後もしばらくは米不足が続きました。お米の生産量増大と確保は、日本人の長い歴史の中でも重要な位置を占めてきたのです。
最近は米の余剰が問題になるほど、収穫量が多くなっています。お米の生産量が増えた理由の1つとして、昔は人力で行っていた作業を、田植え機やコンバインなどの機械で行うようになったため、良質なお米を大量に収穫できるようになったことが挙げられます。このため、収穫したお米の品質を劣化させずに保管する必要が出てきました。
そこで登場したのがカントリーエレベーターです。カントリーエレベーターとは生産者が共同で利用する大型の貯蔵庫で、お米だけでなく小麦や大麦、大豆なども貯蔵されています。単に収穫した穀物を保存するのではなく、短時間で乾燥させ温度と湿度を最適な状態に保ちながら貯蔵し出荷できるのが特徴です。
農家で刈り取られたお米は、籾を付けたままカントリーエレベーターに運ばれます。その後、大型乾燥機で乾燥させてから、温度・湿度管理がされている貯蔵庫に保管されます。そして、出荷に必要な量だけ籾殻を取り除き、玄米の状態で販売店へと運ばれるのです。販売店では、玄米を精米して私たち消費者のもとへ届けてくれます。
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